
事業の目的と特色
目的は瀬戸内海国立公園を舞台に、新しいターゲット層に対して新しい切り口のエコツーリズム商品を提案し、モニタリング、翌年度以降に展開していくことである。
新しい切り口とは、 環境×アート、この地に生息する環境象徴種、最新のテクノロジー導入の3点である。また、新しい切り口ではないが、本モニタリングでは旅の印象に大きく影響のある「食」を重視する。
1)環境×アート
瀬戸内国際芸術祭が開催される地でもあり、アートはこの地を特色づける大きな要素である。エコツーリズムの概念に訪問地のアートや工芸も含まれるが、環境と結びつけることは少ない。今回はコンテクスト(ストーリー)の中に環境とアートを組み込む。アートを鑑賞するだけではなく、自ら体験することを重視し、藍染や団扇つくりの工房をコースに組み込む。
2)この地に生息する環境象徴種を具体的に取り上げる
「スナメリ」を主軸に「コウノトリ(三豊市高瀬町)」「アサギマダラ」「ニホンミツバチ」を瀬戸内の環境象徴としてFeaturingすることで、海と陸の関係を明らかにすることによって、人の生活が環境に与えるインパクトを持ってもらう。
3)最新のテクノロジーを導入
ハードウエアとして、水中ドローン、水上ドローン、空中ドローンがエコツーリズムに活用できるか?レンタルにて試用。
ソフトウエアとして、Zoomを利用したオリエンテーションや事後ヒアリング。
また、OpenStreetMap上にエコ情報のMappingを試みる。
4)食重視
特に希少生物のスナメリに遭遇する確率は低く、それを補って旅の印象を大きく左右する食には最大限の配慮。来訪しないと食べる機会がないローカル素材、食のクリエーターを厳選し、食体験を最大化する。
究極の目的として個々の参加者が環境意識を高め、自分たちのライフスイルを見直すアクションにつなげることと位置づけている。そのために、SDGs指標に基づくアンケートを実施、ツアーの前後にZOOMを使ったヒアリングを行い、新しいエコツーリズム商品の質的向上を図る。
実施モニタリング
- 第一回 2021年7月30日~8月1日 関係者チームでのモデルコース検証
- 第二回 2021年10月16日~18日 アサギマダラをテーマにアーティストとモデルコース検証
- 第三回 2021年10月29日~31日 車椅子でエコツーリズム
- 第四回 2021年11月13日~11月14日 藍染エコツーリズムとスナメリ
- 第五回 2021年12月11日~13日 食のアーティスト 大都市圏
- 第六回 2021年12月13日~14日 食のアーティスト ローカル飲食店
- 第七回 2022年1月8日~10日 但馬と伊勢チームとエコツーリズムコラボ
- 第八回 2022年1月27日~29日 地域コンサルチーム
- 第九回 2022年2月11日~13日 スマートエコツーリズム開発
ツアーに使用した特別な機器
- ドローン 様々なドローンをスナメリ調査及びツアーに使えるのか?モニタリングも。


- 福祉車両 旅行困難者ツアーのために坂出自動車から福祉車両をレンタル。
環境配慮
- ポット持参を推奨 スナメリ観察のために長時間洋上に居るので、温かい飲み物を用意しますが、プラスティックコップは使いません。参加者には保温ポットを持参をお願いしてます。ですが、忘れる人も多いので、ゴミの出ないように陶器のカップを用意し、都度持って帰り洗浄してます。
- 洋上飯ではNOプラスティック 環境に配慮した素材で洋上での弁当やおやつを食のクリエイターにつくってもらいましたが、そのパッケージや弁当箱も紙の簡易包装にしてもらった。(写真はPASSドーナッツさんが、今回のために団子型にして紙コップにパッケージング)
- 乗り合い 移動は車になるが、知らない人同士でもあっても相乗りにしてもらいました。
コロナ対応
- 抗原検査キットを用意
- 第五波のときは、個々人に健康管理と具合の悪いときにはツアー参加を見合わせるように指示してました。また旅行中はマスク着用を義務にしていました。エコツアーは自然の中で行われるので、感染リスクは低い商品だと実感してます。
- 第六波では、感染確率の高いことから、コロナ検査を義務化しました。また、直前キャンセルも受け付けたので、参加人数が大幅に減るツアーもでてきました。居住地での検査ができなかった人は到着時に、こちらで用意したオミクロン対応の抗原検査キットでチェックしました。
- 結果的に一人のコロナ感染者も出ませんでした。
SDGsアンケートの実施
エコツアー参加者にアンケートの結果をみて分かったこと。
- レジ袋のリユースや詰め替えの商品、冷暖房の温度設定やゴミを持ち帰る、リサイクルする、など、世間的に認知されていることや既に商品として広く出回っているものに関しては、回答してくれた方の7〜8割がいつもそうしている
- 逆にコンポストの利用や量り売り、MSC認証の魚などに関しては、半数から7割近くが、全くそうしていないと答えている
- 広く一般的に知られているか、生活に身近に在るかどうかで大きく変わってくる印象を受けた
スナメリの生態調査の専門性
スナメリの実態調査に専門家であろうと招聘した岡山理科大の亀崎教授でしたが、研究対象が「亀」でありスナメリは学生である伊藤風氏が実態調査をしていることが判明し、亀崎教授は最初の1回、伊藤さんとは数度お付き合いをいただいた。しかし、亀崎教授の意向とツーリズムである本プロジェクトの方針が合わずアカデミズムとのコラボは解消し、スナメリガイドとしては以前から協力いただいている、猪俣仁さんが大阪大学(生物工学)時代から続く知識量と20年近い経験値を鑑みて適任という結論となった。
また、伊勢のスナメリ調査とエコツーリズムをしている三重大学生物資源学部の坂本教授のチームにきていただいたときは、スナメリがすぐに発見できた。今後も協力していただけることを約束。
まとめ
結論から言えば、ツアー自体は皆さんに満足いただいたものの、今回のエコツーリズムで参加者のライフスタイルが変わったとは言い難い結果になった。ただ、今回のツアーをきっかけにまた訪れたい問人が多く、地域に継続的に関わってもらうことで環境のことを考慮したサステナブルツーリズムとして組み上げていくことは可能だと感じた。
また、山から海の組み合わせは非常に有用。瀬戸内国立公園では、以下の2つのパターンが最善と確信できた。
- 海の神様コース 金毘羅→体験(藍染)→海(島)
- 弘法大師コース 善通寺→お遍路→体験(藍染)→海(島)
また食もアート アートは人 であることも確認。特に関係人口をつくるという視点では最も重要である。
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